最高裁判所第三小法廷 昭和35年(し)3号 決定 1960年2月23日
主文
本件特別抗告を棄却する。
理由
本件特別抗告の趣意は末尾添附書面記載のとおりである。
記録によると、被告人田中義美に対する食糧緊急措置令違反等被告事件の第一審である岐阜地方裁判所の第一八回公判期日において同裁判所は、検察官から第七回公判期日に証拠調の請求がなされた昭和二六年領第一八六八号、証第六八号録音テープ一巻につき、弁護人からなされた右録音テープはいわゆる盗聴による違法証拠で証拠能力がない旨の異議申立を棄却し、同録音テープを取調べる旨の決定をなしたので、弁護人から右棄却決定に対し本件特別抗告の申立がなされたものであって、未だ証拠調は施行されていない。
しかしながら、本件における原決定の如き「訴訟手続に関し判決前にした決定」は刑訴四三三条一項にいわゆる「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらないものである(昭和二九年(し)第三七号同年一〇月八日第三小法廷決定・集八巻一〇号一五八八頁参照)。従って、所論憲法違反の主張につき判断するまでもなく、本件特別抗告は不適法として棄却を免れない。
よって刑訴四三四条、四二六条一項に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 高橋 潔 裁判官 石坂修一)